遺言書についてよくある質問④ ~直筆証書遺言について~

「遺言書の書き方」を題材にした本や雑誌の特集をよく見かけるようになり、遺言書がより身近になっていると感じます。

一般的な遺言書は大きく分けて「直筆証書遺言」と「公正証書遺言」2種類あります。

この2種類の遺言書の違いについては、他の機会にじっくり書こうと思いますが、大きな違いは、遺言書の作り方です。

直筆証書遺言は名称の通り、遺言者が直筆する事で作成する事ができ、公正証書遺言は公証役場にて公証人と証人2名の前で作成します。

直筆証書遺言は思い立った時すぐに作成する事ができるので、公正証書遺言よりも身近な遺言書ではないでしょうか。



直筆証書遺言は民法第968条に記載の通り、

「全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」

また、

「自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録(→財産目録のこと)を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。」

という事は、遺言書に添付する財産目録については、財産目録に署名押印していれば、直筆ではなくパソコン等で作成して良いという事です。

さらに言えば、「相続財産の全部又は一部の目録」については書式の指定が無いので、財産を特定できる情報が記載されてれば良く、金融機関の口座番号と氏名が載っている通帳のコピーや、不動産の謄本やコピーに署名押印した書面を財産目録として添付する事ができます。

遺言書の本文、日付、氏名以外の部分を直筆以外の方法にする事で、精神を使う作業を軽減する事ができます。

また直筆証書遺言の本文について、複雑な表現や長文を避け、単純明快なシンプルな文章で書く事をお勧めしています。もし、遺言書が複雑な表現で長文の場合、複数人の相続人の間で遺言書の解釈について相違が生じ、争いの元になるからです。

遺言書の内容や表現について疑問や不安のある方、焦らず、インターネットや遺言書についての本を調べたり、行政書士などの専門家に相談してみてください。


📒参考📒

民法第968条(自筆証書遺言)

1 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

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