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結局『相続手続き』って、いつまでにやればいいの?

親族が亡くなった後、役所での死亡届や国民健康保険の返納などには期限があります。 では、それ以外の「相続手続き」の期限は? よくある以下3つの相続手続きについて説明します。 【金融機関の預貯金や証券など】 期限はありません。 しかし、金融機関が契約者本人の死亡を知った時点で口座は凍結されます。 故人が家族と同居しており、故人の口座から家賃や光熱費などが引き落されている場合、口座が凍結されると支払いが出来なくなります。 相続人が故人口座を生活で使用してる場合、相続人の生活に影響が出ないよう急いで手続きする必要があります。 また、故人が定期購入などしている場合、定期購入の契約解除をするか、支払い口座が凍結されるまでずっと支払う事になります。 故人の死亡後に無駄な出費を無くす為にも、故人の通帳や支払い記録を確認しましょう。 【不動産】 令和6年4月1日から不動産の相続手続き(相続登記)が法律で義務化されます。 相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になります。 【車、バイク】 道路運送車両法第13条では、所有者の変更があったとき、新しい所有者は、その事由があった日から15日以内に、移転登録の申請をしなければならないとあります。 故人が亡くなった後も相続人が車やバイクを使用する場合は特に注意が必要です。 もし事故等が起きた場合、任意保険が使えず大きな出費や損害に繋がります。 故人の死亡後も車やバイクを使用する場合は、特に急いで手続きを進める必要があります。 注意が必要なのは、故人が家族と同居していた場合です。 相続人のこれからの生活の為にも、どの相続手続きも放っておく事はできません。

士業の違いについて

「遺言書の作成を専門家に頼みたい時、どの士業に頼んだらいいですか?」という質問を受ける事がありますが、なかなか難しい質問です。 インターネットで検索しても、行政書士?司法書士?弁護士?税理士?など、様々な回答が出てきます。 簡単な説明になりますが、各士業の業務内容は以下の通りです。 ※以下記載は大まかな内容です。より詳しく各士業の業務について知りたい方は別途ご相談下さい。 【弁護士】 なんでもできます。特に裁判所に関する業務 ※法務局への登記申請業務は司法書士登録をしている弁護士に限ります。 【司法書士】 法務局に関する業務 裁判所に提出する書類作成業務 ※裁判に関する相談や交渉、訴訟の代理人になることはできません。 【行政書士】 行政(都道府県庁、市,区役所など)に関する業務 【税理士】 税務署に関する業務 👆ポイント👆 ・各士業によって、業務内容が異なります。 弁護士法、司法書士法、行政書士法、税理士法など各法律によって、それぞれの業務内容が定められています。 それぞれの業務範囲を逸脱する行為は違法となります。 ・相談したい内容を得意とする専門家に相談しましょう! 📒 参考 📒 〇 弁護士法    第3条 (弁護士の職務) 1弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。 2弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。 〇 司法書士法  第3条(業務) 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。 1登記又は供託に関する手続について代理すること。 2法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。 3法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。 4裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆

新年明けましておめでとうございます。

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 元旦から能登半島地震があり、精神的に落ち着かないお正月でしたが、 今年も宜しくお願い致します。 地震の被害に遭われた方々のいつもの生活が早く戻る事を願います。

スマートフォンについて

最近スマートフォンを新しい機種にして色々なデータを整理していて、自分が死んだらスマートフォンのデータどうしよ?と考える事がありました。 前回の「デジタル遺産」の記事と少し重複しますが、自分が死んだ後のスマートフォンをどうするか、色々考えました。 自分がいつ死ぬかなんて分からないから前もって自分で削除する事もできないし。 色々考えた結果、「死んだ後に信頼できる誰かにデータを削除してもらう」しか思いつきませんでした。 Android、iPhoneのサイトで改めて調べると、やはり事前に自分が死んだ後にアクセスできる人を登録し、自分の死亡後にアカウントを削除するなど管理できる様に各社設定がありました。 スマートフォンだけでなく、FaceBookやInstagram、ⅩなどのSNSも調べてみると同様にアカウント者が死亡した場合の対応方法について記載されていました。 スマートフォンもSNSもここ十数年で普及し、今では使用者の死亡後について対応を考えなければならない程、使用者の権利に関わる重要なサービスやアイテムに成長していると改めて考えさせられました。 そして私は年末の大掃除をやりながら、隙間時間に色々なアカウントの整理や故人アカウントの登録を始めました。 また2024年も宜しくお願いします🐉

「デジタル遺産」って、聞いたことありますか?

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定義は無いようですが、電子マネーや仮想通貨、店舗や通帳が無くインターネット上だけで取引をする金融資産などを「デジタル遺産」と言います。 スマートフォンの普及により、電子マネーを使ったキャッシュレス決済やネットバンクが一般的になり、スマートフォンを使っている人であれば、誰もがデジタル遺産を持っていることになります。 そして相続財産と言えば、不動産や預貯金でしたが、この「デジタル遺産」も相続財産となります。 一般的に言われるデジタル遺産について、自分が死んだ後、特に対策をしなかった時に考えられる問題を考えてみました。 ①ネットバンク、ネット証券 店舗や通帳が無くインターネット上で全ての手続きを行う銀行や証券会社 (セブン銀行や楽天銀行、楽天証券など) 【死亡後に考えられる問題】 ・手続きを全てインターネット上で行うので、相続人に口座を見つけてもらえない 【今できる対策】 ・ポイントが貰えるからと作ったネットバンクなど、あまり使用していない口座は解約し、銀行口座を統一する ・信用できる家族や親族に取引のある金融機関を知らせておく ・財産目録などを作成し、取引のある金融機関と口座番号を一覧にする ※作成した財産目録は死亡後に見つけてもらえる様に、見つけてもらえる場所に保管したり、財産目録がある事や保管場所を家族や親族に伝えておきましょう。 ②電子マネー、電子ポイントやマイル ICOCAやプリペイドカードなどあらかじめお金を入金するものや、お店や航空会社利用時に付与されるポイントなど    【死亡後に考えられる問題】 ・スマートフォンで管理している場合、スマートフォンのロック解除方法やアプリのID、パスワードが分からず手続きできない 【今できる対策】 ・信頼できる家族や親族にスマートフォンの解除方法を伝えておく ・終活ノートなど自分についてまとめたノートにスマートフォンの解除方法やアプリのID,パスワードなどを書いておく ・使わないポイントカードや電子マネー、プリペイドカードは解約し、ポイントカードや支払い方法を統一する ・ポイントカードのポイントを目的無くずっと貯めるのではなく、定期的にポイントを使用する ・プリペイドカードに一度に大金を入金するのではなく、いつも使う利用金額を定期的に入金する ③サブスクリプションサービス(定期サービス) 動画配信サービスのNetflixや

遺言書についてよくある質問④ ~直筆証書遺言について~

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「遺言書の書き方」を題材にした本や雑誌の特集をよく見かけるようになり、遺言書がより身近になっていると感じます。 一般的な遺言書は大きく分けて「直筆証書遺言」と「公正証書遺言」2種類あります。 この2種類の遺言書の違いについては、他の機会にじっくり書こうと思いますが、大きな違いは、遺言書の作り方です。 直筆証書遺言は名称の通り、遺言者が直筆する事で作成する事ができ、公正証書遺言は公証役場にて公証人と証人2名の前で作成します。 直筆証書遺言は思い立った時すぐに作成する事ができるので、公正証書遺言よりも身近な遺言書ではないでしょうか。 直筆証書遺言は民法第968条に記載の通り、 「全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」 また、 「自筆証書にこれと一体のものとして 相続財産の全部又は一部の目録(→財産目録のこと) を添付する場合には、その目録については、 自書することを要しない 。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。」 という事は、遺言書に添付する財産目録については、財産目録に署名押印していれば、直筆ではなくパソコン等で作成して良いという事です。 さらに言えば、「相続財産の全部又は一部の目録」については書式の指定が無いので、財産を特定できる情報が記載されてれば良く、金融機関の口座番号と氏名が載っている通帳のコピーや、不動産の謄本やコピーに署名押印した書面を財産目録として添付する事ができます。 遺言書の本文、日付、氏名以外の部分を直筆以外の方法にする事で、精神を使う作業を軽減する事ができます。 また直筆証書遺言の本文について、複雑な表現や長文を避け、単純明快なシンプルな文章で書く事をお勧めしています。もし、遺言書が複雑な表現で長文の場合、複数人の相続人の間で遺言書の解釈について相違が生じ、争いの元になるからです。 遺言書の内容や表現について疑問や不安のある方、焦らず、インターネットや遺言書についての本を調べたり、行政書士などの専門家に相談してみてください。 📒 参考 📒 民法第968条(自筆証書遺言) 1 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、自筆証書

高齢になった親の遺言書を作りたいと思っている方へ

「2,3年前から認知症で...」 「持病でずっと入院していて...」 高齢の親を心配して、遺言書を作りたいという相談を多く受けます。 もちろん高齢の親本人も将来を考えて遺言書を作りたいという気持ちがあるでしょう。 しかし遺言書を作成する時に、遺言者本人に意識があり、遺言書の内容をきちんと判断・理解できる意思能力が無ければ、遺言書は作成することが出来ません。 もし、意思能力が無い状態で遺言書を作った場合、この遺言書は無効となり、相続時の争いの元になります。 また、遺言書は他の法律行為の様に子や親族が代理で作成する事もできません。   私の事務所では、遺言者本人が亡くなった後、相続人同士で問題なく相続手続きを進められる場合、無理して遺言書を作るのではなく、相続手続きの際に多少の事務手続きは増えますが、相続人同士で協力して相続手続きを進める事を提案しています。 入院中の遺言者本人が少し元気な時に無理して遺言書を作ったとしても、遺言者本人が亡くなった後、遺言書の作成に関わらなかった相続人がその遺言書に疑問を持ち、争いが起こる可能性もあります。 相続時にトラブルが起こると分かっている場合は、早め早めに遺言書や他の方法で相続時の問題を回避するようにしましょう。 法律相談できる弁護士、司法書士、行政書士事務所にも早めに相談に行くことをお勧めしています。 📒 参考 📒 民法(遺言能力) 第961条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。 第962条 第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。 第963条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。